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夏の終わりに
第2章 帰郷
わざわざ日にちと期間を指定してまで、頼みたいことがあるのではなかったのか。

美也子にお願いされたからこそ、浩人は仕事を調整して十日ほどの休みを確保した。
それなのに、肝心の美也子は何も頼んでこないまま、前触れもなく旅行へ行ってしまった。

書き残した手紙にあるのは、六歳年下の幼馴染み―――千里の帰省。
そして、コンビニ強盗。

美也子に尋ねようと携帯電話を取りに自室に戻って、浩人はディスプレイに表示された時間に目を止めた。

げっ!

慌てて部屋を飛び出そうとしてカバンの傍へ引き返し、パジャマ代わりの服からシャツとジーンズへ素早く着替える。
再び部屋を飛び出そうとして、今度は車のカギを探した。

急激な動きに反応して腹の虫が鳴ったが、浩人には聞こえていなかった。

電車の到着時間はすでに過ぎている。
千里は待ちくたびれているはずだった。
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