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夏の終わりに
第15章 欲求
約一時間ほど車を走らせて、二人は他県のショッピングセンターへ向かった。
焼そば用の麺の他にもいろいろと具材を購入したため、ようやく家に帰りついた時には日付が変わろうとしていた。

「ヒロ兄ちゃん、先にお風呂入っちゃって。その間に準備しておくから」

キッチンに荷物を置くと、千里はそう言って具材を袋から出し始めた。

「いや、手伝うよ」

浩人は隣に並んで、ついさっきまで自分が持っていた買い物袋を広げる。千里が少し驚いたように見上げてきても、気づかないフリをした。

「……たくさん運転したし、疲れてない?」

「疲れるほどの距離は走ってないから大丈夫。それを言うならちぃは……」

ふとイタズラ心が頭をもたげた。

「たくさん汗かいたし、疲れただろ?」

千里は一瞬きょとんとしてから、一気に顔を真っ赤にさせた。耳を澄ませば心臓の音も聞こえてきそうだ。
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