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夏の終わりに
第16章 危機
テッペーの口から垂れた涎が、白い肌を冷たく濡らす。
食らいつくように胸を咥えこんで、ちゅうちゅうと音をたてて強く吸われた。ざらついた舌が肉をそぎ落とすように舐め上げ、歯が食い込んでくる。

「いっ…ぁっ……!!」

痛みに体が強張り、千里はすがりつくように森戸家の灯りを見つめた。

…ヒロ兄ちゃん……助けてっっ

けれど、その灯りから浩人が姿を現すことはない。

男の手がショーツを掴み、乱暴に引っ張られた。

「頭使えよ」

くっと笑った男がナイフを取り出す。そのナイフがスカートを引き裂き、ショーツの端にひっかかった。

ビリッ…ビリッ

誰かが息を飲み込んで、ショーツに隠されていたそこに触れる。

「すげぇ、エロい体」
「たまんねえ。もうやっちゃう?」
「ここじゃヤバくないか?」
「誰か、車持ってこいよ」

「やっ……いや」

千里は体中を走り抜ける恐怖にガタガタと震えた。
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