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夏の終わりに
第16章 危機
逃げて、もう戻ってこないのかもしれない。
ちぃを失ったのかもしれない。
恐怖に心も体も冷たく凍え、ナイフで胸を貫かれたような苦しさに頭がくらくらとし始めた。
千里はたこ焼き器を取りに行っただけだ。
すぐに戻ってくる。
本当に逃げたわけではない。
そう思う一方で、千里が戻って来てくれるはずがないと、傍に留まってくれるくれるはずがないと、自虐的な思いが止めどなく溢れていく。
ちぃ……
浩人はキャベツをまな板の上に置き、濡れた手のままキッチンを離れていった。千里が寝泊まりしている客室へ恐る恐る足を進め、部屋の隅に置かれている荷物にほっと胸を撫で下ろす。
いつからこんなに臆病になってしまったのだろう。
千里が傍にいない、姿が見えないことが、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
未だふらつく頭を抱え、浩人は柱にもたれた。
ちぃを失ったのかもしれない。
恐怖に心も体も冷たく凍え、ナイフで胸を貫かれたような苦しさに頭がくらくらとし始めた。
千里はたこ焼き器を取りに行っただけだ。
すぐに戻ってくる。
本当に逃げたわけではない。
そう思う一方で、千里が戻って来てくれるはずがないと、傍に留まってくれるくれるはずがないと、自虐的な思いが止めどなく溢れていく。
ちぃ……
浩人はキャベツをまな板の上に置き、濡れた手のままキッチンを離れていった。千里が寝泊まりしている客室へ恐る恐る足を進め、部屋の隅に置かれている荷物にほっと胸を撫で下ろす。
いつからこんなに臆病になってしまったのだろう。
千里が傍にいない、姿が見えないことが、どうしてこんなにも不安になるのだろう。
未だふらつく頭を抱え、浩人は柱にもたれた。