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夏の終わりに
第3章 再会
バスがやって来る時間を確かめようと顔を上げた千里は、バス停の向こうに見える道路を見てドキリした。


車のことは何も知らない千里でも、レトロで可愛らしいデザインのアクアブルーの車が、この辺り一帯でよく見かける車のどのタイプにも属していないことくらいは分かる。

ファミリーカーとして使用するには小さすぎる。
主婦の足として使うのなら、使い勝手の良い車が他にいくらでもある。
実用的でない車は、この辺りに住んでいる人間なら選ばない。


まさか……


動けないでいる千里の視界の中で、フィガロはノロノロとロータリーに入ってきた。

ギラつく陽射しがフロントガラスに反射して車内はほとんど見えない。それでも微かに分かる運転席のシルエットから、千里は目が離せなくなっていた。
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