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夏の終わりに
第3章 再会
前後に車はない。すれ違う車さえほとんど見られない閑散とした道路を、日産のフィガロは急発進と急ブレーキを繰り返しながら駅舎へと近づいていた。


涙を堪え、胸の痛みに堪えていた千里に、その奇妙な動きをしたフィガロに気づく余裕などなかった。

頼まれたってことは、お迎えも……?
でも、それならヒロ兄ちゃんのことだもん、遅刻なんてしないよね……?

もしかしたら……頼まれたけど、私に会いたくないから……


苦しくなって、千里はそれ以上考えを巡らせるのを止めた。

途中から歩かなければならないのは大変だけれど、バスに乗ろう。運が良ければ、村の近くで知り合いに会えるかもしれない。
そう結論づけて立ち上がり、スカートについた土埃を払う。

ヒロ兄ちゃんのこと、考えないようにしないと……

そうしなければ涙は止まりそうになかった。
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