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夏の終わりに
第18章 安息 ①
知らず知らずのうちに、千里は唇を舐めていた。
浩人の唇が重なり、その強張りを強引にほぐしていく。

「……ぅんっ、」

いきなり激しく吸われて体から力が抜け、千里は浩人にもたれかかった。頭がクラクラして、あっという間に何も考えられなくなっていく。

「キスは?された?」

「……ぇっ?」

僅かに顔を離した浩人を千里はぼんやりと眺め、なんとか否定する。

「ここは?」

そう言って、浩人の手が首筋に触れる。千里は答えようとしたけれど、次の瞬間には口を覆われ、ざらざらとした舌で歯茎を舐めまわされていた。

「…ぁ…ヒ……ロ、にぃ……、」

浩人が離れた一瞬に千里は囁く。けれど、すぐにまた唇と唇が溶接したようにしっかりとくっついて、浩人の舌が千里の口の中を這いまわる。
穏やかで暖かく、それでいて怯えの混じったキスに、千里は静かに涙をこぼした。
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