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夏の終わりに
第20章 安息 ③
もう謝ることもできない。
許しを乞う権利も、ない。
ならば、千里を壊したところで、罪の重さに大差はない。
その思いを嗜めるように、腕に優しく触れてくるものがあった。
千里の手だった。
華奢な細い指が肌を撫で、すがりつくように包まれる。
「いなくならないから…、だから……そんなこと言わないで」
千里がもぞりと動いて顔を上げてきた。目が合うと、そっと微笑んで頬に唇を寄せてくる。浩人が驚いて固まっていると、たどたどしく唇が重なった。
ちぃ…?
思いがけない出来事に、浩人は酷く困惑する。
何をされようとしていたのか、気づいていないのだろうか。
あいつらがしたことよりも、もっと酷いことをしようとしていたのに……
浩人がキスを返せないでいると、千里は体を竦ませて浩人から唇を離した。しかし、腕の中に納まったまま逃げる素振りもない。
「なんで…?」
「なんでって……」
気後れしたように言葉を濁らせる千里を、浩人はじっと見つめた。
許しを乞う権利も、ない。
ならば、千里を壊したところで、罪の重さに大差はない。
その思いを嗜めるように、腕に優しく触れてくるものがあった。
千里の手だった。
華奢な細い指が肌を撫で、すがりつくように包まれる。
「いなくならないから…、だから……そんなこと言わないで」
千里がもぞりと動いて顔を上げてきた。目が合うと、そっと微笑んで頬に唇を寄せてくる。浩人が驚いて固まっていると、たどたどしく唇が重なった。
ちぃ…?
思いがけない出来事に、浩人は酷く困惑する。
何をされようとしていたのか、気づいていないのだろうか。
あいつらがしたことよりも、もっと酷いことをしようとしていたのに……
浩人がキスを返せないでいると、千里は体を竦ませて浩人から唇を離した。しかし、腕の中に納まったまま逃げる素振りもない。
「なんで…?」
「なんでって……」
気後れしたように言葉を濁らせる千里を、浩人はじっと見つめた。