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夏の終わりに
第20章 安息 ③
―――僕が守るから、もう泣くな。

幼い千里にした約束を破って泣かせてばかりなのに、涙に滲んだ瞳は真っ直ぐに浩人を捕え、まるで約束がまだ有効であるかのように信頼を寄せてくる。


千里が外へ飛び出すように仕向けたのは浩人。


テッペー達と再会した時の千里は酷く怯えていた。あの時、前にも襲われたことがあるのだと気づくべきだった。
そうすれば、決して一人にはさせなかった。


全部、俺が招いたこと。

それなのに数々の罪に目を背け、未だに千里を凌辱しようとしている。
なのに―――、

「なんで?」

「好き、だから。ヒロ兄ちゃんが好きだから、離れたくない」

心地よい衝撃に、浩人は声を詰まらせた。

「……好き。ずっと、好きだった。好きなの。ヒロ兄ちゃんが好き……っ」

ぶつかってくる想いに、涙がこみ上げてくる。胸が苦しくて、息もできない。

「千里…、」

浩人は喉を震わせ、好きだと叫び続ける口を塞いだ。
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