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夏の終わりに
第22章 繋がる想い ②
「俺も、会いたかった」
嘘偽りのない言葉。
それなのに、ひどく後ろめたい。
―――ヒロ兄ちゃん、
鈴の鳴るような可愛らしい声に振り返ると、千里はいつも嬉しそうにはにかんでいた。
その笑顔がどれだけ嬉しかったか、どれだけ眩しかったか、
……どれだけ救われてきたか、
おそらく千里は知らない。
後を追いかけてくる千里を、浩人が優しく受け入れる。
ずっと、そうやって育ってきた。
しかし本当は、優しく受け入れていたのは千里のほう。
頼られ、懐かれることで、浩人は千里の中に自分の存在意義を見つけていた。
だからこそ何よりも千里を優先し、我儘を聞き、自分から離れていかないように細心の注意を払ってきた。
―――あの日までは。
ちぃに会いたかった。
その想いに嘘はない。
しかしそこに、自分勝手で姑息な感情が混じっていないとは言えなかった。
嘘偽りのない言葉。
それなのに、ひどく後ろめたい。
―――ヒロ兄ちゃん、
鈴の鳴るような可愛らしい声に振り返ると、千里はいつも嬉しそうにはにかんでいた。
その笑顔がどれだけ嬉しかったか、どれだけ眩しかったか、
……どれだけ救われてきたか、
おそらく千里は知らない。
後を追いかけてくる千里を、浩人が優しく受け入れる。
ずっと、そうやって育ってきた。
しかし本当は、優しく受け入れていたのは千里のほう。
頼られ、懐かれることで、浩人は千里の中に自分の存在意義を見つけていた。
だからこそ何よりも千里を優先し、我儘を聞き、自分から離れていかないように細心の注意を払ってきた。
―――あの日までは。
ちぃに会いたかった。
その想いに嘘はない。
しかしそこに、自分勝手で姑息な感情が混じっていないとは言えなかった。