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夏の終わりに
第4章 沈黙
互いにじっと顔を見合わせて、不意に切れた緊張の糸にどちらからともなく口許を綻ばせた。
笑っ…た?
浩人の反応に驚いて、千里は再び固まった。
もう一度笑顔を向けてくれる日が来るなんて思ってもいなかった。ほんの小さな笑顔だけれど嬉しくて、じんわりと目頭が熱くなる。
千穂が言ったように浩人は更に格好良くなっていた。
幼い頃から目鼻立ちが整っていたけれど、あの頃の優しく爽やかな雰囲気はそのままに、より暖かみのある男性へと変化している。低い声も魅力的で聞き心地が良かった。
「いろいろ……ごめん」
……えっ?
三度目の驚きに感情の高ぶりと涙は引っ込んでしまい、千里は浩人を見つめた。
浩人は何かを言おうと口を開いたけれど、そんな千里を見て一度口を閉じる。
「かなり遅刻したから、」
浩人はそう言って、千里のカバンをさり気なく奪った。
笑っ…た?
浩人の反応に驚いて、千里は再び固まった。
もう一度笑顔を向けてくれる日が来るなんて思ってもいなかった。ほんの小さな笑顔だけれど嬉しくて、じんわりと目頭が熱くなる。
千穂が言ったように浩人は更に格好良くなっていた。
幼い頃から目鼻立ちが整っていたけれど、あの頃の優しく爽やかな雰囲気はそのままに、より暖かみのある男性へと変化している。低い声も魅力的で聞き心地が良かった。
「いろいろ……ごめん」
……えっ?
三度目の驚きに感情の高ぶりと涙は引っ込んでしまい、千里は浩人を見つめた。
浩人は何かを言おうと口を開いたけれど、そんな千里を見て一度口を閉じる。
「かなり遅刻したから、」
浩人はそう言って、千里のカバンをさり気なく奪った。