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夏の終わりに
第23章 繋がる想い ③
ちぃを愛している?

これまで一度も考えたことがなかった。
考えてはいけない、許されないことだと、ずっとそう思っていたから……

「愛してないんなら、俺が貰っちまうぞ」

怒りに駆られてカズを睨むと、カズは目を見開いてからぶはっと吹き出した。

「そんな顔するなら、四年間も放置すんなよ。毎日でも“愛してる”って言ってやれ」

言っても、いいのだろうか。

湧きあがる不安を断ち切るように、カズが浩人の頭を強く叩く。

「あれな、鹿が食っちまったヤツだ。駄賃にもらってくぞ」

道路脇に転がしていある大根や茄子などをあごでしゃくると、カズは今度こそ大きく欠伸をして体中の筋肉をほぐした。

「…出勤前に、ちと寝てくるわ。じゃあな」

「ああ…、ありがとう。カズ兄」

カズは立ち上がり、照れ臭そうに手をひらひらと動かした。
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