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夏の終わりに
第4章 沈黙
浩人が雑誌をめくる乾いた音が聞こえている。
つけられたテレビの音は小さく、笑いに包まれたバラエティ番組を誰も見ていなかった。
千里は浩人から離れた場所に座り、目的もなくスマホをいじっていた。
二人共、お風呂には入ってしまった。夕食も終えて、洗い物も済んでしまっている。
もう歯も磨いた後だった。
やることもなくなって、けれど客間に逃げてはいけないような気もして、千里は居心地の悪さに堪えながらリビングの端で時間を潰し、康人の帰りを待った。
時々こっそりと浩人を盗み見するけれど、雑誌を見つめる姿は険しく、会話を拒絶しているように思える。それをはね除けて話しかけるほど、千里は気丈ではなかった。
外から砂利を踏むタイヤの音が聞こえると千里はようやく緊張を解いた。
つけられたテレビの音は小さく、笑いに包まれたバラエティ番組を誰も見ていなかった。
千里は浩人から離れた場所に座り、目的もなくスマホをいじっていた。
二人共、お風呂には入ってしまった。夕食も終えて、洗い物も済んでしまっている。
もう歯も磨いた後だった。
やることもなくなって、けれど客間に逃げてはいけないような気もして、千里は居心地の悪さに堪えながらリビングの端で時間を潰し、康人の帰りを待った。
時々こっそりと浩人を盗み見するけれど、雑誌を見つめる姿は険しく、会話を拒絶しているように思える。それをはね除けて話しかけるほど、千里は気丈ではなかった。
外から砂利を踏むタイヤの音が聞こえると千里はようやく緊張を解いた。