この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
夏の終わりに
第4章 沈黙
「もしかして……朝食?」
浩人はグラスをひとつ千里へと滑らせながら、用意されている食事を見やった。
「うん、まぁ……」
口籠る浩人に、千里は唇を噛みしめる。
もうすぐ十二時になるのに、浩人は一食も摂っていなかったのだ。
千里を迎えに行くことさえなければ、もっと早くにお腹を満たせているはずだった。そう思うと、合わせる顔がなくて後悔と悲しみに襲われる。
「ごめん……」
消えかかるような声に、浩人の反応はない。
千里はくしゃりと横髪を握った。
「……もう、昼ご飯食べる?」
「あ、うん……」
俯いたまま千里は答えた。
エアコンの運転音がやけに大きく聞こえる。
「自分で、作る…から」
浩人はボソリと何かを呟いて、麦茶を飲み干した。
それきり、会話らしい会話もないまま時間だけが過ぎていった。
浩人はグラスをひとつ千里へと滑らせながら、用意されている食事を見やった。
「うん、まぁ……」
口籠る浩人に、千里は唇を噛みしめる。
もうすぐ十二時になるのに、浩人は一食も摂っていなかったのだ。
千里を迎えに行くことさえなければ、もっと早くにお腹を満たせているはずだった。そう思うと、合わせる顔がなくて後悔と悲しみに襲われる。
「ごめん……」
消えかかるような声に、浩人の反応はない。
千里はくしゃりと横髪を握った。
「……もう、昼ご飯食べる?」
「あ、うん……」
俯いたまま千里は答えた。
エアコンの運転音がやけに大きく聞こえる。
「自分で、作る…から」
浩人はボソリと何かを呟いて、麦茶を飲み干した。
それきり、会話らしい会話もないまま時間だけが過ぎていった。