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夏の終わりに
第6章 守護
胸ぐらを掴んできた男の手首を、浩人は間接を強く押さえて掴み返した。
殴り合いの喧嘩など一度もしたことがない。それでも怯むつもりはなかった。心が折れてしまえば、千里は守れない。

「警察、呼びましょうか?」

いつの間にか集まっていた野次馬の一人が浩人に話しかけた。それに答える前に、男の友人が男の肩に手を乗せる。

「止めとけって」
「うっせえ」

男は浩人を睨みつけたまま、友人の手を振り払う。友人は呆れたように苦笑して、もう一度男の肩に手を乗せて耳元で何か囁いた。

男の表情が変わり、浩人の背後にいる千里を舐めるように見つめてニヤリと笑う。

「……分かったよ」

男はヘラヘラと笑いながら、友人達を引き連れて去っていく。スーパーの隣にカラオケ店があり、本来の目的は千里ではなくそちらのようだった。
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