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夏の終わりに
第9章 白紙 ②
四年前は、全身でぶつかってくる浩人の感情もその行為も、体を引き裂くような痛みも、全てが怖くて拒絶してしまった。

けれどあれから千里も、少しは成長した。
今ならきっと―――


……同じこと、してもいいよ。


恥ずかしくて言葉には出せないけれど、浩人に抱きついている今が答えになってくれたら……。
願いをこめて、千里は浩人に体をすり寄せる。


その仕草に浩人は体を固く強張らせた。

「……会場には近づかない。森にも入らない。それでもいいなら、一緒に観に行こう」

過ちを白紙に戻して最初からやり直すことなど不可能だ。
それでも、千里が望むのなら叶えてやりたい。その気持ちを否定することは出来ない。

そして何より浩人自身も望んでいた。


次は、止められないかもしれない。


そうなる前に、心底嫌われてしまう前に、もう一度だけ二人の思い出を作りたかった。
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