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夏の終わりに
第11章 花火
ヒュー……

空を鳴らす、少し哀しげ音がして

ドォンッ

心臓に響く音と共に鮮やかな花が咲く。辺りが光に包まれて、すぐにまた暗くなった。
その美しさに、歓びに満ちた声があちこちから聞こえてくる。

次の花火を待つ浩人の横顔を見つめ、千里はこっそりと浩人の袖を掴んだ。

「……見える?」

「う、うん」

突然近づいてきた端正な顔と耳元で響く低い声に驚いて、千里は慌てて手を離した。

後を追うように打ち上がる花火は、その半分も見えなかった。体に叩きつけられる音と辺りを照らす華やかな明かりから想像するしかない。

それでも良かった。

もう一度、浩人と一緒に花火を観ている。

大切なのは、この幸せな時間。


「……きゃっ、」

再び浩人の横顔を盗み見しようとした千里は、肩を強く捕まれてバランスを崩した。
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