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夏の終わりに
第11章 花火
ぐいっと抱き寄せられて、気がつけば浩人に背中を預ける形で体を重ねていた。

……えっ?

戸惑い振り返ろうとする千里の耳元に、再び浩人の口が近づいてくる。

「ここのが良く見えるだろ?」

「……っ、」

千里は紅潮した顔を隠すように小さく頷いた。

花火なんて見えない。
それどころではなかった。

肩に置かれた大きな手と、背中に感じる広い胸板と、耳にかかる低い声と息に、全身が熱く火照っていく。堪えきれずに震えた体を寒さのせいだと勘違いしたのか、腕が胸の下へと回されて包み込むように抱きしめられた。

わ、わざと……?

こんな……っ、心臓がもたない…よぅ……


今朝も強く抱きしめられた。深く舌を絡ませ合うキスもした。
昨夜は、それ以上のこともされた。

抱擁など今更かもしれない。

それでも人が大勢いるこの場所がそうさせるのか、千里は恥ずかしさのあまり頭がクラクラし始めていた。
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