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夏の終わりに
第11章 花火
「ヒロ兄ちゃん……っ!?」

後ろで千里の戸惑う声がする。
花火の見物客も何人か怪訝そうに二人を見て、すぐにまた花火に視線を戻していった。

噂になるかも……

狭い田舎町だ。切羽詰まって千里を暗がりに連れ込んでいる今を知り合いに見られたら、あっという間に淫らな噂がたってしまうだろう。

それでも構わない。

そう思っている自分にギクリとして浩人は足を止める。

俺は構わない。けど、ちぃは……
そんな恥ずかしい思いさせたら、駄目だろ。


守りたい。
その気持ちに嘘はないのに、逆のことばかりしてしまう。

どうして上手くやれないのだろう。

「ごめん…、最低だな」

情けなくて、顔を上げることも出来ない。

千里の手を離して、浩人は奥歯を噛みしめ固い拳を作る。その手に、柔らかくすべすべとした手が重なった。
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