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想い想われ歪なカタチ
第3章 3
にやりと綻ぶ流牙に、私は素早く駆け寄ると――
パン!
目の前の憎ったらしい顔の左頬をはたいた。今度は流牙が驚いて私を見つめる。
その顔を見下ろして、私は勢いよく怒鳴りつけた。
「・・・・なぁーーんて、私が言うと思ってンの!?! あーーほ!!
あんたが私に仕えても、私がアンタに仕えるもんですか、ばぁ~か!!
流牙の分際で何を偉そうにしてんのよ!!
誰があんたを孤児院から連れ出してあげたと思ってんの!?
この恩知らずッッ!!」
私はソファーのクッションを手に取って流牙に叩きつけた。
ガシッと手首を捕まれる。
痛い と思うのと、ソファーに自分の身が仰向けに沈み込むのとは同時だった。
思いっきり振り下ろしたのと、流牙がそのクッションを引っつかんだのとで、
破れた布からばら撒かれた中身の羽毛が、舞い上がって舞い降りて、辺りをふわふわと白く包んだ。
部屋のなかに まるで雪が降るように白い綿毛が舞っていたのだけれど、
私はそんなのに目を向ける余裕も無く、私の上に圧し掛かった流牙の、
底意地の悪く嫌に整った顔つきが放つ冷たい視線を、恐怖を込めて見上げていた。
私は流牙にソファーに押し倒されていた。
「・・・・いつ、俺がおまえに孤児院から出してくれと頼んだ?」
ギリリ と捕まれた手首に力がこもる。
「いっ・・・流牙、痛い!」
「俺がおまえに拾ってくださいと頼んだことがあったとでも?」
「痛い!!」
振りほどこうとしても、流牙の力は強い。
今までこんな、力を私に使ったことなんて! 一度もなかったのに!!
「実際に俺を連れ出したのは、お前じゃなくて、
お前と一緒に施設を訪れたお前の祖父さんだ。違うか?」
「でも・、私が選んでやった・痛!」
「だから、いつ、俺がお前に選んでくれと頼んだんだよ?
俺がおまえに仕えたのは、
雇い主であるお前の父親との契約の為とおまえの祖父への義理立てに過ぎない。
父親との雇用契約が破られ、ジジイも一年前にくたばった今、
俺がお前に仕えなきゃならない理由は何処にもない!!」
「・・・うるさ・・・ 耳元で怒鳴らないでよ」
「・・・・」
私はあくまで自分のペースを保とうとした。
流牙は暫く黙った。
パン!
目の前の憎ったらしい顔の左頬をはたいた。今度は流牙が驚いて私を見つめる。
その顔を見下ろして、私は勢いよく怒鳴りつけた。
「・・・・なぁーーんて、私が言うと思ってンの!?! あーーほ!!
あんたが私に仕えても、私がアンタに仕えるもんですか、ばぁ~か!!
流牙の分際で何を偉そうにしてんのよ!!
誰があんたを孤児院から連れ出してあげたと思ってんの!?
この恩知らずッッ!!」
私はソファーのクッションを手に取って流牙に叩きつけた。
ガシッと手首を捕まれる。
痛い と思うのと、ソファーに自分の身が仰向けに沈み込むのとは同時だった。
思いっきり振り下ろしたのと、流牙がそのクッションを引っつかんだのとで、
破れた布からばら撒かれた中身の羽毛が、舞い上がって舞い降りて、辺りをふわふわと白く包んだ。
部屋のなかに まるで雪が降るように白い綿毛が舞っていたのだけれど、
私はそんなのに目を向ける余裕も無く、私の上に圧し掛かった流牙の、
底意地の悪く嫌に整った顔つきが放つ冷たい視線を、恐怖を込めて見上げていた。
私は流牙にソファーに押し倒されていた。
「・・・・いつ、俺がおまえに孤児院から出してくれと頼んだ?」
ギリリ と捕まれた手首に力がこもる。
「いっ・・・流牙、痛い!」
「俺がおまえに拾ってくださいと頼んだことがあったとでも?」
「痛い!!」
振りほどこうとしても、流牙の力は強い。
今までこんな、力を私に使ったことなんて! 一度もなかったのに!!
「実際に俺を連れ出したのは、お前じゃなくて、
お前と一緒に施設を訪れたお前の祖父さんだ。違うか?」
「でも・、私が選んでやった・痛!」
「だから、いつ、俺がお前に選んでくれと頼んだんだよ?
俺がおまえに仕えたのは、
雇い主であるお前の父親との契約の為とおまえの祖父への義理立てに過ぎない。
父親との雇用契約が破られ、ジジイも一年前にくたばった今、
俺がお前に仕えなきゃならない理由は何処にもない!!」
「・・・うるさ・・・ 耳元で怒鳴らないでよ」
「・・・・」
私はあくまで自分のペースを保とうとした。
流牙は暫く黙った。