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想い想われ歪なカタチ
第4章 4
それを聞いた流牙が 不敵に笑むのを見て、背中からぞっと悪寒がしたのは何故だろう。


「伊吹・・・ 何度も何度も・・・

 もう理由は言わない。こっちに来るんだ」


少し肩をすくめて見せて、流牙はにっこり不自然に笑んだまま
私においでおいでをした。

げげ。やっばーい! きっとあれをする気だ・・・


「いやよっ!! あんた、またおしり叩く気なんでしょう!」


 高圧的な態度で手招きする流牙を避けて、私は素早く後ろに飛び下がった。
流牙はおびえる私の態度を見て、少し目を見開き、ふっと笑うと眼鏡を外した。

穏やかな表情が一変する。
眼鏡を外すと、見られるだけで傷つきそうな 鋭利な瞳が剥き出しになる。


「わかったわかった。ケツは叩かないからとにかくこっちに来いよ」


 そう眼鏡を外しただけなのに、どうしてこうも、以前の流牙と人相違っちゃうのよ?!



「・・・じゃあ・・まさか、今度は昨日のアレ・・・?

 もっとヤダ!!!」



飛び退いて、そのまま部屋から逃げだそうとした私の腕を流牙がガシリと掴む。


「何ごちゃごちゃ言ってんだ。
 はやくお前が汚したところを綺麗にしろよ」


 眼鏡を自分の上着の内側のポケットにしまって、さらに意地悪な顔つきになった流牙は 自分の足元を目で示した。

流牙の足元の床には茶色い液体が広がっている。
まだぽたぽたと、新たな水滴が床に滴っている。
私は自然と、フローリングの床に雫を落とすテーブルに目が移った。

あっちゃ~・・・。
そういえばさっきテーブルを叩いたとき、上のカップが厭な音立ててたけど、
案の定、横倒れになって淹れたばっかりのコーヒーを全部ぶちまけてしまってる。

なーんだ。流牙はこれを掃除しろって言ってただけだったのね。
何か意味ありげに微笑むから、私はてっきり・・・・~~~


ちょっと赤くなって私は、白いダスターを持ってきて、床のコーヒーを拭き取った。
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