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想い想われ歪なカタチ
第4章 4

『だめ・・・、もう それ以上、 強くしないでよぉっ・・・・』


つぶやいた声は、曇りなく磨かれた大理石の床に反射することなく消えていった。
銀のぴかぴか光るトレイに、客に差し出すオードブルを乗せたまま、私は小刻みに震えていた。
流牙の眼鏡の奥の瞳が、面白そうな光を宿して常にはなれない。意識してしまう。

天井の高い大広間に どっしりと吊り下げられたシャンデリアが もっと青白い光であったら、
私の紅潮した顔を、余計に際立たせてしまっただろう。
食卓を飾る要素として配置された蝋燭が暖色系の光を放っていたことも、私の顔色を隠すのを手伝ってくれていた。
無理やり浮かべた笑顔は、もうとっくに引き攣っているんじゃないだろーか・・・


六時ぴったりに訪れた訪問客六人は、実はそのほとんどが見覚えのある顔ぶればかりだった。
だって彼らは、私のお祖父さまの代から、パパの会社に勤めていた重役たちだったから。


「なにをぼさっと突っ立っているんだ?
 お客さまにきちんと挨拶をなさい」


あまりの展開に驚いて、不躾に訪問客の顔をじろじろ見ていた私に、流牙は耐えかねるように呼びかけた。


「んふあっ・・・」


ついでに、私に着けさせたバイブレーションを最弱の強度にしてスイッチを入れるのも忘れなかった。
ほんの小さな低刺激だったけど、私は耐え切れず変な声を漏らしてしまう。
だって、もんのすごく変なところにばっちりと出っ張りが当たってるんだもの。
それがブルブルと震えるんだから、恐ろしく腰が痺れてしょうがない。

やばい・・・訪問客の視線が私に集まってる。
私は早く場違いな刺激に開放されたくて、静かに頭を下げる。


「・・・遠路遥々ようこそ御出で下さいました。どうぞごゆるりとお過ごしになって下さい」


私だって、それなりの教育は受けて育ったんだから。
改まった場での挨拶なんて朝飯前なんだけど――― この顔ぶれはどういうことだろう? 
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