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想い想われ歪なカタチ
第4章 4
訪問客の一人が声をかけて来た。


「可愛いメイドさんですね。
 しかし・・・ どこか見覚えがあるのは気のせいかな?」


やっばい!
そりゃあるわよ。
だって、お祖父さまにこうやってアンタが訪問してたとき、やっぱり私もこうやって挨拶してたんだもの。
頭を軽く下げたまま ビシリ と、固まる私の前に 流牙がすかさず割って入る。


「この娘は新人で、まだ躾の途中なんです。
 ご無礼がありましたらお許しください。
 それよりも、こんなところで立ち話も何ですから、どうぞ中のほうへ」


この時ばかりは流牙に感謝した。
自己破産した会社社長の娘の哀れな末路だなんて、指差されて笑われたくないもの。
身なりと服装というものは、本人以上に本人を主張するらしく、
流牙のその簡単な説明だけで、訪問客の重役たちは納得し、促されるまま中に入って行った。


『ちょっと! 流牙! これは一体どういうことよ!?』


続いて中に入ろうとした流牙の袖を引っ張って、私は小声で囁いた。


『何がだ?』


『何がって、あの人たち、パパの会社に勤めてた人たちじゃないの。
 何でその人達が、よりにもよってアンタを尋ねて来るのよ??』


『そんなの決まってるだろ。彼らはお前の“パパ”じゃなくて俺の会社に勤めてるからだ。』


そっけなく答えると、私の引っ張った袖を振り払って中に入って行った。


・・・・どーーーゆーーーこと!?

取っちめて追求したかったけど、ここであまり目立つのは良くない。
それに、しばらく黙って傍に控えていると、
流牙と訪問客の間に交わされる会話の内容から、どういう事情なのかだんだん飲み込めてきた。
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