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想い想われ歪なカタチ
第5章 5
ドンッ ってまた、トイレのドアは無作法に叩かれた。
まるでそのまま心臓を叩かれたみたいにドキッとするような音。
「今すぐ、ここから出て来るんだ、伊吹」
流牙じゃない流牙は、扉のすぐ前に来てる。
ほら、もう声からして違うもの。
誰の声なのかは すぐに分かる。声そのものは同じだから。
でも、
いつも静かで穏やかで 胸に染み込むように、聞いていると安心する あの声じゃない。
「嫌よ!! っく・・出ていかない!
流牙の声なんかっ、ひっく・聞きたくない!ひっ・・・っか行ってよッッ!!」
また、しゃっくりの入り混じった声で私は叫ぶ。
涙と一緒に出た鼻水のせいで鼻がつまって、何て言ったのか、自分にもよく分からない。
しかし意味は 流牙には十分通じたらしい。
私が泣いてるということに、一ミリの関心を持たない声が返ってきた。
「ふん。そうか。
じゃあ、あと十数えて出てこなかったら、ドア蹴破るからな。
怪我したくなかったら、離れてろ。
いーち、にーい・・・・」
「ちゃんと言えばよかったじゃない!!!!」
無情なカウントをふさいで、
私の肺と、私の腹と、私の喉と、私の口の中と
私の中に存在する全ての声を振り絞って私は叫んだ。
「・・・何のことだ?」
「だから! 私のこと嫌いだったのなら、
最初からそう言えばよかったじゃないのよ!! 嫌なら嫌だって、そうはっきり!!
なんでずっと何も言わなかったの!? なんで今になって・・・・あんなこと、
あんなことするくらい嫌いだったのなら!! そう言えばよかったじゃない!!!」
流牙は秒読みする声をぱたりと止めて、ドア越しに聞き返してきた。
まるでそのまま心臓を叩かれたみたいにドキッとするような音。
「今すぐ、ここから出て来るんだ、伊吹」
流牙じゃない流牙は、扉のすぐ前に来てる。
ほら、もう声からして違うもの。
誰の声なのかは すぐに分かる。声そのものは同じだから。
でも、
いつも静かで穏やかで 胸に染み込むように、聞いていると安心する あの声じゃない。
「嫌よ!! っく・・出ていかない!
流牙の声なんかっ、ひっく・聞きたくない!ひっ・・・っか行ってよッッ!!」
また、しゃっくりの入り混じった声で私は叫ぶ。
涙と一緒に出た鼻水のせいで鼻がつまって、何て言ったのか、自分にもよく分からない。
しかし意味は 流牙には十分通じたらしい。
私が泣いてるということに、一ミリの関心を持たない声が返ってきた。
「ふん。そうか。
じゃあ、あと十数えて出てこなかったら、ドア蹴破るからな。
怪我したくなかったら、離れてろ。
いーち、にーい・・・・」
「ちゃんと言えばよかったじゃない!!!!」
無情なカウントをふさいで、
私の肺と、私の腹と、私の喉と、私の口の中と
私の中に存在する全ての声を振り絞って私は叫んだ。
「・・・何のことだ?」
「だから! 私のこと嫌いだったのなら、
最初からそう言えばよかったじゃないのよ!! 嫌なら嫌だって、そうはっきり!!
なんでずっと何も言わなかったの!? なんで今になって・・・・あんなこと、
あんなことするくらい嫌いだったのなら!! そう言えばよかったじゃない!!!」
流牙は秒読みする声をぱたりと止めて、ドア越しに聞き返してきた。