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想い想われ歪なカタチ
第5章 5
「何言ってんだ? おまえは」


「だから!!!!
 ずっと私のこと嫌いだったんでしょ!? 憎んでたんでしょ!!
 それで昨日からずっと、私にこんなことしてきたんでしょ!?
 だったら、はやく言えばって言ったのよ!

 あんた、いっつも無口で無表情だったから! 私、ちっとも分かんなかったじゃないの!!
 一言だって、嫌だとか、言ったことなかったじゃない!!!
 なのにイキナリこんなことして仕返ししなくったっていいじゃないっっっ!!
 私、知らなかったんだよ!!
 ちゃんと言わなきゃわかんないよッッッ!!!」


 一気にまくしたてたのと、あまりの大声を出したのとで、
心の中に渦まいていたセリフを言い切ったあと、かるく頭が酸欠状態になった。
私は目の前がくらくらしながら、ゼエゼエと肩で息をした。

私が何も言わなくなってからも、流牙はドアの向こうで不気味な沈黙を守ってた。
私の荒い呼吸音だけが、しばらくトイレのピカピカのタイル達に嘲笑われていた。

全てを押しつぶすような低い声で、沈黙は静かに破られた。


「言えばおまえは聞いたか?」


ゆっくりと、私に問い掛ける声。
低く、低く、押し殺した声。

・・・え? って、聞き返す間もなく流牙は続けた。


「お前は俺と対等に話をしようとしたことがあったか?
 俺の意見を聞こうとしたことがあったか?
 俺が何を考えているか、俺が何を感じているか
 知ろうとしたことがお前にあったのか?
 俺が無口で無表情だったのは、お前が俺にそう望んだからだ」


「・・・私が?」


すんなり返される予想外の答えに、私は戸惑うしかなかった。
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