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想い想われ歪なカタチ
第2章 2
―― バン!!! ―――


午後の風情もへったくれもナシに打ち払って、私の部屋のドアが開いた。
私はついに、自分の頭の血管が切れちゃったかと飛び上がった。
驚いた鼓動のドクドクと波打つ音を抑えながら、私は声を荒げた。


「なっ何よ! あんたたち!」


両開きの大きな扉の開け放たれた入り口には、スーツ姿の男が数人立っていた。


「ここの家財も全部だ。番号! 値段! 付け忘れンな!!」


一番偉そうな男が、他の男に指示を出す。まるで服着たゴリラみたいな顔をしている。
白の生地に縦じまのスーツ、そしてネクタイは真っ赤ときてる。何?このセンス。馬鹿じゃないの?
ゴリラを先頭に雪崩れ込んだ男達は一斉に、値踏みするように私の部屋の家具をみて、
何やら書き込んだ大きい付箋を貼り付ける。


「ちょっと!! ここは誰の家だと思ってるの?
 警察を呼ぶわよ!! 不法侵入で訴えてやるから!!」


顔を真っ赤にして怒鳴る私を、偉そうなゴリラ男は 人をいかにも小馬鹿にした表情で吹き出した。


「お嬢チャンこそ、なんでこの家にいるんだ?
 そっちこそ、不法侵入・・いや、最初から居たなら不法滞在か?」


男は、黄色い歯をむき出して笑うと、私を爪先から頭の天辺までじろじろと目で舐め回した。


「何言ってんのよ! ここは私の家! 私が居て当然じゃないの!!
 あったまオカシイんじゃないの?アンタッ・・」


偉そうな男はイキナリ私の顎を掴んで私の顔を引き寄せた。


「言い方には気をつけな、お嬢チャン」


臭い息を吐きかけて、ばっと放す。


「なっ・・・なっ・・・」


頭に来過ぎて何も返せない。
沸騰したやかんのようになって、口をぱくぱくさせる私をみて、ゴリラはふふんと笑った。


「お嬢チャンはぁ、隠岐の娘さん? ・・・まさか、何も知らされてない?
 それも置いてけぼりかい?
 はッはぁ、そりゃ面白い。不憫だなぁアンタ」


「何・・? 何なの?」
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