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想い想われ歪なカタチ
第2章 2
「いいかい、よく聞けよ。

 アンタの親父の会社、オキ・コーポは今日のさきほど倒産したンだよ。
 しかも莫大な借金抱えてな。
 お前んとこの財産は全部没収。金になるなら箸一本残してやらねーよ」


「えっ・・えええ??」


私は一緒にいたメイドと顔を見合わせた。
彼女も何も知らないらしく、さらにオドオドとして顎をガクガク言わせてる。
ダメだわ。とても使い物にならない。

しかし、どういうことよ、これは。

偉そうなゴリラ男はさらに続ける。


「でもってな、ここが肝心な。
 アンタの親父はな、倒産寸前の事実隠して、金を借りては、
 有りっ丈の財産を持って、ドロン!! 夜逃げしちゃってんのよ。
 わかる? ヨニゲ。
 人様から金を借りるだけ借りて逃げていっちゃったのヨ。理解してる?」


バカにした笑いをゴリラ面に浮かべて、男は軽く首を降った。


「言っとくけどな、ここの屋敷売り払って家財売り払っても、とても足りる金じゃ無いからな。
 どうしてくれんだヨ、全く」


「なっ なに 馬鹿なこと・言って、そんな嘘・・・ 騙されないわよ!!」


男が、くいっくいっと部屋のテレビを指差した。

付けられた部屋のテレビに視線を送る。

画面に映し出される大きな建物は、確かにパパの会社の本社ビル。
画面の右端に浮かぶはうちの会社の倒産の文字。
無表情の女性アナウンサーが流暢に流す言葉を、私は呆然と聞いていた。
僅かに長方形の画面からもたらされる情報は、
確かにゴリラ男の発言を裏付ける内容だった。

頭がパニくって、何が何だかわかんない。

ふと 窓の外を見る。
使用人たちがばたばたと荷物を手に手に出て行っている。

あッ、あんたら~~~ッっ!!!! 

なおも私の隣でおろおろするメイドに男は言った。


「つーわけで、雇い主はもう居ない。契約は打ち切り。
 アンタもさっさと荷物まとめて出て行くんだなー。
 でないと、アンタのものさえ没収されかねんヨ?」


「そっ、そんなっ・・!」


メイドは慌てて部屋を出て行く。


「ちょ・・っ 待ちなさいよ! どうなってるのよ!!」


メイドを追いかけようとした私を男が遮った。
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