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想い想われ歪なカタチ
第6章 6
なぜ、ここに来ちまったんだろう。
見慣れた姿を探して当てもなく車を走らせる
そこまでは何時もと一緒だった筈だ。
ただぼんやりと、行き着いた先は何故かこの場所だった。
俺は車を道路脇に放置して、陽が落ち、夜の気配に包まれ始めた見覚えのある風景に足を向けた。
地表から空を見上げれば、使い古したボロ雑巾のように灰色。
今にも氷の結晶を落としそうに 凍てついた雲は 厚く層を成して
北からの風は、頬を突き刺しながら抜けていく。
鉄のパイプの骨組みに、子供の目の引く原色の色の塗られた遊具は、暗闇の隅で埋もれている。
中央に、翡翠色のペンキの剥げかかった街灯。
以前は、まるで空まで届くかのように、途方もなく高く見えたのだが、
今ではすっかり みすぼらしくちっぽけで、細い線のような影を落として自分の足元だけを照らしている。
そう感じるのは、昔よりずっと 俺の背が伸びたせいだろう。
少し 目を細めれば、
寒空の中で孤立して立つ街灯と 並んで立っている遠い昔の自分の姿が見える気がする。
これで雪でも降り始めれば完璧だ。
俺はゆっくりと足を進めると、遠い昔の自分の亡霊に、重なるようにして街灯の下に立った。
くそ寒い。
吐いた息は片っ端から白く凍りつく。
羽織ったコートの襟を立てて首を埋める。
そう、俺は あの公園に来ていた。
遠い昔、母と呼んだ女が 俺を置き去りにして姿を消した場所に。
やはり人気は無い。暗闇に包まれ始めた公園。
砂場に埋もれて、子供に忘れ去られた赤いプラスチックの玩具が酷く色あせて見える。
ここに来るのは、何年ぶりになるだろう。
でも、以前の俺は毎日のように 入った施設を抜け出してはここにやって来ていた。
灰色の北風の吹き荒む音に混じって遠い昔の声が聞こえる。
__________
見慣れた姿を探して当てもなく車を走らせる
そこまでは何時もと一緒だった筈だ。
ただぼんやりと、行き着いた先は何故かこの場所だった。
俺は車を道路脇に放置して、陽が落ち、夜の気配に包まれ始めた見覚えのある風景に足を向けた。
地表から空を見上げれば、使い古したボロ雑巾のように灰色。
今にも氷の結晶を落としそうに 凍てついた雲は 厚く層を成して
北からの風は、頬を突き刺しながら抜けていく。
鉄のパイプの骨組みに、子供の目の引く原色の色の塗られた遊具は、暗闇の隅で埋もれている。
中央に、翡翠色のペンキの剥げかかった街灯。
以前は、まるで空まで届くかのように、途方もなく高く見えたのだが、
今ではすっかり みすぼらしくちっぽけで、細い線のような影を落として自分の足元だけを照らしている。
そう感じるのは、昔よりずっと 俺の背が伸びたせいだろう。
少し 目を細めれば、
寒空の中で孤立して立つ街灯と 並んで立っている遠い昔の自分の姿が見える気がする。
これで雪でも降り始めれば完璧だ。
俺はゆっくりと足を進めると、遠い昔の自分の亡霊に、重なるようにして街灯の下に立った。
くそ寒い。
吐いた息は片っ端から白く凍りつく。
羽織ったコートの襟を立てて首を埋める。
そう、俺は あの公園に来ていた。
遠い昔、母と呼んだ女が 俺を置き去りにして姿を消した場所に。
やはり人気は無い。暗闇に包まれ始めた公園。
砂場に埋もれて、子供に忘れ去られた赤いプラスチックの玩具が酷く色あせて見える。
ここに来るのは、何年ぶりになるだろう。
でも、以前の俺は毎日のように 入った施設を抜け出してはここにやって来ていた。
灰色の北風の吹き荒む音に混じって遠い昔の声が聞こえる。
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