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想い想われ歪なカタチ
第6章 6
実は
俺が居た孤児院と、この公園との距離は目と鼻の先で
ここからはよく見えないが、少し高台にある孤児院からは、この公園の全景をしっかり確認することができる。
だからこの公園は 地元ではある意味 有名な場所なのだ。
自分で子供を養い育てることが出来ないと判断した親が、ここに子を置き去りにしていく。
公園の様子をよく見ることができる施設の中から、置き去りにされた子供に気づいた職員が仕様がなく引き取りに行く。
そういう場所として。

伊吹に初めて会ったのはあの施設だった。

十一年前、俺を引き取ってくれるという何処かのもの好きなジジイが施設に来たとき
その金持ちそうなジジイの脇にくっついてた、とても小さな女の子が
俺の目の前にトコトコとやって来た。
白い肌。その表面は思わず触れてみたくなるほど滑らかできめが細かい。
赤く色づいた唇はふっくらと潤って、袖の膨らんだデザインにスカートの裾にはいっぱいのフリル。
栗色の髪は甘いわたあめを連想させ、大きな瞳はそこら中の光を集めたように輝いている。
まるで絵本の話のなかから抜け出して来たような可愛いい女の子。

俺は思わず微笑んで、知ったばかりの名前を呼んで 手を差し伸べようとしたのだけれど、
そんな好意は一瞬で踏みにじられた。
こんな施設に育てられている俺とは立場が違うのだと告げられた。

その日から俺は、今は違ってもいつか必ず 対等になってやると心に誓ってきた。
そう、俺は
伊吹と対等になりたかった。

下から見上げなくてはならない自分とその立場を、何よりも憎んでいた。
常に扶養される 養われる 下に居る 自分を殺しても従わなくてはならない そんな気持ちなど
伊吹が分かる筈がない。

 だから

だから俺は同じことを伊吹に仕返してやりたかったんだ、・・・たぶん。
俺を知って欲しかった。俺が常に背負っていた重みに気づいて欲しかった。
立場を逆転させれば、これまでのことも、これからも 対等になる気がした。
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