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想い想われ歪なカタチ
第7章 7
それを聞いて、私は分かってしまった。

流牙と私が初めて会ったあの日、
流牙は全てに興味が無さそうに、窓の桟に座って外を眺めていたけど、
同じ場所に座ってみて私はわかった。
ここから見えるのは、あの公園。
翡翠色のペンキの塗られた街灯が木々に隠れながらもしっかり見える。

流牙はいつも、待っていたんだね。
あの公園にいても、この施設にいても、
自分に迎えがくるのをずっと待っていたんだ。

そして私は、
流牙のことがどうしても欲しかった。
パパは私のこと見てくれなかったし、お祖父さまも私だけを見てくれるわけじゃなかった。
ずっと世話をしてくれてた乳母も、自分が結婚したからと言ってはさっさと辞めていったし
お母さまは面影さえ覚えてなくて、そんな死者にすがる気もしなかった。
私の傍に居てくれる誰か。私と一緒に居てくれる誰か。私を必要としてくれる誰か。
絶対、何処かに居ると思った。必ず見つけ出そうと思った。
そんな人をいつも探してた。
そんなときに流牙に出会った。

 瞬間に分かったの。
 私の勘ってばよく当たる。
 予備知識があろうとなかろーと。

迎えが欲しかった流牙。
誰かが欲しかった私。

きっとそーだよ、間違いない。

少し微笑んで流牙を見上げる。
眉を顰めて流牙は私を見つめている。
その瞳は今も昔も変わらない色。私をちゃんと見つめてくれてる。
きっとそれには間違いはない。

この場所は寒い。いつまでも居たくない。


「ねぇ、流牙。 私にもちゃんと、一コだけ分かったことがあるの」


 ちらちらと降る雪が、流牙の肩や柔らかい髪にかかってた。
それを取り払ってあげたいと思った。
色の失せた紫の 冷えきった唇に触れたいと思った。
誰もいない公園に、ぽつんと立ったままの流牙の瞳を見つめて私は言った。


「一人は、嫌だ。
 独りは、寂しい。

 だからね、流牙。 一緒にいよう? 
 ・・・・一緒に、 いようよ」
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