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想い想われ歪なカタチ
第7章 7
控えめな光沢の濃い紺色のベルベット生地のミニのワンピース。
肩がふわっと膨らんで、袖口は下のシャツを折り返して、
腕と並行に並ぶ真珠色のボタンで止めるヤツ。
裾に幾重に続く波のようなフリルのあしらったエプロン。
色は純粋な白色よりオフホワイトに近いペチコート。
そしてそして、エプロンと同じく緩やかなフリルの付いた髪留め・・・

私は着ようかどうしようかと迷ったんだけど、
素肌に刺す寒さに負けて、その服に袖を通してしまった。
もちろん、その後は脱衣場と廊下を駆け抜けると
流牙の部屋(と言っても元々私の部屋なんだけど)に怒鳴り込んだ。


「なんでまたこの服なのよ!?!!」


まだ濡れた髪の毛をくしゃくしゃとタオルドライしながら、眼鏡を外したままの流牙はこっちを向いた。


「『なんで』って、それがおまえの服だろーが」


「ええ~~!! 何それ??
 それってまた、私にメイドしろってこと!?
 どーして??」


呆気にとられる私に、流牙はめんどくさそーに説明する。


「ここが俺の屋敷で、おまえがここに居る限り、
 俺が主でおまえはメイドだって 前にも説明したはずだぜ? 何度もさせるなよ」


「でもさっ・あっ・っきゃん!! ちょっと流牙!」


私の身体の重力が瞬間になくなった。
ふわりとした変な感覚。
反論の声をあげる私に 「ヤレヤレ」という声が聞こえそうな表情で近づいた流牙は、
ひょい と私の身体を持ち上げた。
私の背中に手をまわして、もう片腕は膝の裏・・・。お、オヒメサマだっこってやつ?
メイド服のワンピってば呆れるほどスカート丈が短いから、
持ち上げられた瞬間に捲れあがるのを予知して私はスカートの裾を取り押さえた。
そんな心配を他所に、私の身体をベッドの方に運びながら流牙が笑いながら言う。


「伊吹だってけっこう、その服気に入ってるだろ?」
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