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BeLoved.【蜜月記】
第16章 【縮】BeLoved.

やがて夜明けを迎え、新しい一日が始まった。
雇用主の御一方はやや睡眠不足なものの、しっかり朝食を召し上がり、出かけて行った。
そして…もう御一方。小さくなった彼は…
「っあ"〰〰、手ぇちっこくてキーボード打ち辛ぇ!!」
自室でノートPCを前に悪態つきながら…業務を開始していた。
そっと覗き見ると、PC画面には人の姿。
どうやら打ち合わせ中?らしい。
しかし、こちら側はカメラもマイクもオフ。元々対面・電話主義の彼のこと、発言全てを文字起こししなければならないこの状況は、さぞ苦痛だろうなぁ…。
でも自分の責務を全うしようとしてる。
こんな状況でも。
「……わたしも頑張ろう!」
ワーキングチェアに膝立ちで乗った、小さな後ろ姿が可愛くて見入ってしまってたけど…意識改革!
彼を見習って、わたしもわたしの業務をきっちりこなそう。
──ピンポーン
掃除を開始しようとした矢先、呼び鈴が鳴った。
荷物が届いたらしい。彼らのどちらかの物かな?
受け取るための準備中も、頭の中では今日この後の予定を組んでいた。
掃除が済んだら買い物に行かなくちゃ。
小さくなった彼が着るための服を仕入れるんだ。
我が家には、今の彼が着こなせる服など無い。昨夜から、通常(?)の彼の私服を騙し騙し着込んでいる。
携帯で最寄りの子供服屋はリサーチ済み。不謹慎かもだけど…ちょっと楽しみだった。
…のだけど。
届いた荷物の中身は…数着の子供服だった。
「麗に頼んどいたんだよ。うーわっ、小っせ」
取り出した服を眼前で拡げながらの悪態(?)。
聞けばこれは、キッズラインも取り扱っている服屋を経営している麗さまの知人づてで、営業時間外だったものの何着か見繕い送って貰ったものだという。
「はぁ…そうですか…」
「?何でそんな残念そーな顔してんの」
小さくなっても中身は彼。行動は早い。
わたしの出る幕なんてなかったな…。
わたしに背を向け、今着ている大きい服をまるでてるてるタオルみたくして、さっさと着替えてる。はぁ…
「あー、なかなかいんじゃね?」
「!」
大きい服を脱ぎ捨てれば…現れたのは、いかにもやんちゃそうな男の子。か…、か…!
「は?!オイ何だよ未結急に!!」
「かわいいです…!!」
気付いた時には抱きしめていた。
──いつもの彼が、するみたく。

