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誘蛾灯
第4章 転落危険
 何事も初めが肝心だ。俺は芳子が抜き取ったベルトを二つ折りにして手にするとたわめたベルトを引っ張りバチンと高い音を鳴らす。
 皮の鳴らす音に蕩けていた表情が強張る。
 「誰がいつ名前で呼ぶ事を許した?」
 怒気を含んだ問いに反射的に四つん這いで逃げようとする背中にベルトを振り下ろす。合皮が皮膚を打ち白い背中に真っ赤な蚯蚓腫れが走る。激痛にのたうちながらも尚逃げようとする頭を踏みつける。これが蛇なら身体を脚に巻き付け反撃に出れたろうが人間にはそんな真似は出来ない。じたばたと手足を動かすのが関の山だ。
 「芳子、お前は俺の何だ?」
 「わ、私は、旦那様に、お金で、買って、頂いた、下女です。」
 背や尻に鞭を受け途切れ途切れになりながらも答える芳子を足で仰向けに返すと今度は右の乳房を踏みにじる。
 「下女?違うな。お前は俺の性欲の捌け口、ザーメンを吐き出す為の便器だ。判るか便女!」
 腹に、太股に蚯蚓腫れを増やしながら芳子は泣き叫ぶ。
 「芳子は旦那様の便女です。旦那様の望まれる時に股を開く便器です!いつでも旦那様のお好きな時にお使い下さい。」
 鞭から逃れたいだけの口先の言葉だろう。もっと苦痛を与えて俺に逆らう事、俺の勘に触る事をする意味を教え込まなければならない。芳子の髪を鷲掴みにすると引き摺るようにして浴室に放り込む。
 給湯器を操作してシャワーを出す。設定温度は47度だ。普段からこの温度でシャワーを浴びてる俺には何ともないが芳子には少々熱かったようだ。洗い場で断末魔のゴキブリの様にのたうち回る。それを見下ろしながら垢擦りタオルにボディーソープをたっぷり泡立てると蚯蚓腫れで彩られた背中を力任せに擦る。傷口を毛羽立ったタオルとソープで擦られ芳子は悲鳴を上げる。うわぁ~痛そう、と思う反面ザマアミロと溜飲を下げる自分と、まだまだ!もっとやれ!と叫ぶ自分が居る。無論今は煽る声に身を任せる。
 「騒ぐな!亭主の小汚ない手垢で汚れた便器を綺麗に掃除してやってるんだ、感謝しろ!」
 「旦那様。穢れた便女の芳子を洗ってくださりありがとうございます。」
 傷口を逆撫でされ石鹸を擦り込まれしみるのを我慢しながらの口上を歪んだ笑みを浮かべて聞く。
 どんなに気の強い高貴な女でも俺の能力の前では痛みすら快楽と感じる雌犬に成り下がる。例え真性のサディスト女王様でも例外ではない。
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