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第5章 語るな危険

　今幾ら貯まっているかは知らないがこれは俺が死んだ後に残された女達へ分けられる様になっている。
　金の心配をする必要がなく、表の仕事も役員待遇になってキャバ嬢と楽しむ為に現場に出てるという悠々自適な生活を送っているが今日は珍しく早出をして駅のホームに立った。月曜日が祝日で世間様は三連休初日だ。季節も良いし行楽日和。こんな日はガードが緩くなった女が釣れやすい。露骨にならないように獲物を物色する。まだ少し暑い日が続いているので半袖の女達が溢れている。OL、主婦、学生。選り取り見取りだ。そんな中で俺の気を引いたのは一組の親子だった。母親の方は三十路中場か。年の割にはプロポーションも崩れてなく小振りな乳にデカイ尻となかなかに唆られる身体だ。顔は美人と言うよりか可愛いといった感じか。清純派アイドルが純粋培養で大人になりましたという風貌だ。無論セックスを知らない訳がない。あの顔でベッドでどんな風に鳴くのか想像するだけてチンポが硬くなってくる。
　そして彼女の腰に纏わりつき無邪気な笑顔を振り撒いている少女。顔立ちがそっくりなので母娘に違いないだろう。中一、もしかしたら小六か？漏れ聞こえる会話からこれから動物園に行くらしい。ここから動物園の最寄り駅まで7駅30分前後か。十分だな。
　素知らぬ顔で間に二人程挟んで母娘の後ろにつける。多分咲子のような鉄道警察が見たら痴漢候補としてマークされるだろうが気にしない。
　電車がホームに到着し開いたドアから数人が降りたのを見計らって待ち構えていた乗客が雪崩れ込む。俺は手慣れた動きで母娘を反対のドアとシートで出来た三角地帯に押し込み右手でポールを握り左手をドアについて身体を支える。見知らぬ男に壁ドンされて少し不快そうな顔をする母親に申し訳なさそうな情けない顔を作って会釈する。極力身体が触れないように努力しているが判ったのか母親は会釈を返して娘との会話に戻る。
　この姿勢なら身体的接触があったとしても二の腕が触れる程度だ。とても痴漢行為とはとれないだろう。居るか居ないか判らない警官を意識しながも電車の揺れに合わせて数cm壁ドンの左手を母親に近付ける。
　手袋をしたままの俺の前腕と母親の上腕が触れる。一瞬母親の身体がビクリと反応するが逃げない。これだけの混み具合だ多少の接触は仕方ないとスルーしたのだろうがそれが大間違いだ。