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女教師の神秘
第3章 Cool Woman
 拓磨は時間が止まった様に感じていた。詩織は始めは声を上げず泣いていたが、しばらくするとそれも治ったようだった。

「おい…いつまで抱きついてるつもりだ?」

と詩織の狼タイプの声が聞こえた。拓磨は慌てて回していた手を解くと一歩下がった。

「今日の訪問の用件は何かな?」

詩織は何事も無かったように聞いてきた。若干声のトーンが羊になりつつあった。

「あの…母が先生に梨を持って行けと…」

拓磨はおずおずと梨の入った紙袋を差し出した。
詩織は紙袋を受け取ると

「いいわね。ありがたく頂きます。お母さんにお礼を言っておいてください。」

詩織は少しだけ笑顔を見せた。

「今夜は訳あって送ってあげられないから、気をつけて帰りなさい。」

そう言うと詩織が一歩前に出ると拓磨の唇にキスをした。

「さっきはありがとう…おやすみ」

詩織はそう言って、部屋に入っていった。
拓磨は、一人取り残された様にドアの前に立っていた。しばらくして、やっと拓磨の足が駅の方へ向いて動き出した。

 翌日の夏期講習では詩織はいつも通り教壇に立っていた。
「おい拓磨、ボケっとしてると、夏期講習だけの夏休みになっちまうぞ!」

いきなり詩織から狼の罵声が飛んできた。

「はい、すいません!」

拓磨はやっぱり詩織を凄いと改めて感じた。詩織は拓磨にとって憧れの存在になりつつあった。


To be continued‥‥
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