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女教師の神秘
第4章 恋 心
 拓磨にとって、今年の夏はまるで特別講習一色の夏休みだった。しかし彼は悲観してはいない。何故なら、講習の後半は詩織を目で追うことに喜びを感じ、彼女を公然と見つめていられたからだ。新学期が始まっても、恋心は募るばかりだった。特別な状況だったにしろ、彼女とキスできたのは夏の思い出として、拓磨の脳に大きく焼き付いていた。

「詩織先生!」

拓磨は教室を出てから詩織に声をかけた。

「なにかな?」
「ちょっと聞いて欲しい事が…」
「いいよ…相談室いく?」

拓磨は黙って頷いた。
相談室に入ると、詩織が先に口を開いた。

「あなた最近頑張ってるみたいね。他の先生方が褒めてたわよ」

拓篤は少し照れたように笑顔を見せた。密室に二人でいるだけで、脈拍が上がった気がした。詩織の髪の匂いが感じられる。

「そうかな〜今までとあまり変わらないけど…」

拓篤は誤魔化すようにお道化てみせた。

「私の授業の時も真剣に聞いてるじゃない」

拓磨は詩織の笑顔に眩しさを感じた。

「聞いて欲しい事って何?」
「実は……」

拓磨は詩織に英語の特別課題をお願いしてみた。そうする事で、詩織と二人の時間ができればいいという下心からだった。

「夏休みが終わったばかりで、雪は無いと思うけど…先生は嬉しいわ!」

詩織は少し戯けた様に言った。

「ありがとうございます」

詩織は少し考えてから

「一週間分の問題を渡すから、自力で頑張って!週末に家に来て答え合わせしましょう。それでいい?」

詩織は笑顔で拓磨を見た。拓磨は天にも登る気分だった。

「はい!よろしくお願いします」

詩織は終始、羊の如く優しい口調だった。しかし最後の笑顔は、拓磨の心中を見透かしている様にも見えた。


To be continued‥‥
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