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理想というまやかし
第2章 憂いの皇子


 本音と建前を、りとはその時も分けておくことにした。


 男に、女を求める価値はない。安らぎや快楽を欲しがるなんて、身のほど知らずだ。傲慢で白痴な性に生まれた自分を悔やんで、生涯、陽の当たらない世界の片隅でひっそり生きて死ねば良い。男を自由にするから彼らは突拍子もない罪悪を犯し、思い上がる。歴史上の過ちは、いつでも男の愚劣が招いた結果だ。

 男装など全く興味のなかったりとが、こんな業種を選んだのは、彼らの居場所を嘲笑いたかったから。
 所詮、女は根本の違う男より、個人の価値観などの差はともかく、同じ生態の女との方が上手くいく。ヘテロセクシャルを育てたがる教育のせいで、性別が違えば生命体として別物だという根本に気づかない人間はあまりに多い。だから、りとは自らの存在で、ひと握りで良い、身近な女達に男の必要性を疑問視させたい。
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