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理想というまやかし
第2章 憂いの皇子
「料理上手なんかじゃないですよ。飯塚さんにはあんなに迷惑かけたので、誠心誠意お詫びしたくて、レシピサイトを漁りました」
「それでここまで、すごいです。あ、未沙さんって呼んで良いですか?普段、苗字で呼ばれることもあまりなくて」
「良いんですか?じゃあ、りとさん」
「却って気、遣わせちゃったな。お陰でこんなに美味しいもの食べられたけど」
「本当にお恥ずかしいです。今後は彼と話し合ってみます」
りとは僅かに落胆する。隣人に迷惑をかけただけで共犯者と別れる選択肢を選ぶ人間もいないだろうが、こうも敢然と関係の継続を前提として話をされると胸がもやつく。
君の裸、見てるんだよ。温泉で一緒になったって見えないような部分まで。
身体の線を強調するタイトなカットソーに、座ると太ももまでむき出しになるマーメイドラインのミニスカート。これだけしか身につけていない未沙から、りとが彼女のしどけない姿を思い起こすのは容易い。ともすればどこに触れればあえかによがって、どんな風に刺戟すれば顫えるかも分かる。
楽しげに食事を進める未沙は、きっと目の前の客人が自分の痴態を想像しているとは、知らない。