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理想というまやかし
第2章 憂いの皇子

 明るすぎるのを嫌がった未沙曰く、元から身体の造りの違う男と違って、りとが相手なら自分がみじめになるかも知れない。女同士は却って羞恥を煽られるという。

 りとが未沙に見出していた自尊心は、何だったのか。

 ブラジャーとショーツだけになった未沙は、りとのよく知る隣人だった。

 月明かりを吸えばより輝く白い肌、まろみを帯びた凹凸は惜しみなく妖しい線を描いて、媚びた色気が横溢している。


「未沙さん……綺麗」

「あんまり、近くで見ないで」

「近づかないと、触れないじゃん」

「りとの方が綺麗なくせに」

「少なくとも、私はここまで誘惑的な身体じゃないよ」

「ぁんっ……」


 くびれたウエストを抱き寄せて、染みついたボディーソープの匂いを確かめるようにして肩や腕に口づけながら、谷間をくすぐっていた手を乳房に覆った。手のひらに収まりきらない丘陵を緩慢な手つきで揉みしだきながら、耳の裏や首筋にもキスを散らす。

 未沙は太ももをひくひく揺らして、くずおれるようにして寝台に尻を沈める。内股をすり合わせる彼女の脚の間に自分のももを割り込ませて、今一度、りとは半開きになった唇の動きを封じると、背中を探ってブラジャーのホックを外した。


「ふっ……ん」

「未沙さん……」


 未沙から肩紐を外しながら、りとは彼女の唇を啄んで、割れ目に舌をこじ入れていく。ほんのり甘く感じる唾液を絡め取って、歯列の奥を求めると、未沙の舌がりとのそれに合わせて動く。


「はぁっ、あ……んん」



 ちゅる……くちゅ……じゅる…………


 みだりがましい水音が、二人の理性を遠ざけていく。
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