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理想というまやかし
第2章 憂いの皇子


「本当、いやらしい。私は良いけど、そっちのお隣さんにも聞こえるよ」

「そっ、れはぁ」

「そっちの人にも、身体で謝らないといけなくなるかもだよ?」

「っ、あんっ、やだぁ……あれっ、あっ、向こうはおばあさんだった……っ」


 いや、高齢者なら尚更、安眠を妨げては気の毒だろう。

 喉元まで出かけた反駁を飲み込む。今夜のところは、りとも共犯だ。未沙のもう一方の隣人が熟睡してくれていることを、手放しに願う。


 こんなものつけてる意味ないよね、脱いで、と、りとが未沙を促すと、彼女はしずしずショーツを除いた。

 性的に熟れた女の下半身が鼈甲色にありあり浮かぶ。縮れ毛を載せた恥丘はふっくらと白く、覆うものをなくした割れ目の匂いは濃さを増した。

 こうして間近で眺めたかった。愛でたかった。

 こうも美しい女特有の部位を蹂躙している男だけが、りとはもっぱら不愉快だった。安眠が妨げられていたのは事実でも、未沙に触れて自覚した。あまりにこうして彼女を感じたくて、きっと生殺しにされていたのだ。


「膝、上げて」

「こう?」

「も少し、開いて」

「見えちゃう……」

「さんざん見せられてきたんだけど。さ、……」


 脚をM字に開いた未沙は、割れ目をぐっしょり濡らしていた。

 りとは洪水に指を伸ばして、布越しにいじっていたところに今度はじかに弧を描く。ぬちゃ、つるっ、と、滑りやすくなったクレバスの襞が、指の肌にまとわりつく。


「あんっ、あんっ……」


 ぐちゅ、ぴちゃぴちゃ……ぐちゅっ……


 尻をシーツにこすりつけて、言葉で意思表示出来ない小動物よろしく鳴きながら、未沙は腰をたわませる。
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