この作品は18歳未満閲覧禁止です
- 小
- 中
- 大
- テキストサイズ
理想というまやかし
第2章 憂いの皇子
未沙でさえあの加虐趣味の男よりりとを選んだのに、真麻は、愛乃のどこに執心するのか。愛乃は男でないにしても、相変わらず真麻のスケジュールのすみずみまで管理して、怪我を負わせた前科もある。
彼女らを繋いでいる感情がどんなかたちか、第三者のりとに理解出来ないのは当然としても、誰でも良かったと話したいつかの真麻が、りとの胸にしこりを残す。
「お疲れ様です」
「お疲れ様ー」
「りと、お疲れ様っ」
時計は四時を示していた。
メイドカチューシャを外しながらりとに振り向いてきた真麻の笑顔に、目が眩む。
真麻との朗らかな関係が、このままずっと続けば良い。このままずっと続かせるには、彼女の思う理想の友人を演じ続けるべきなのだろう。
第2章 憂いの皇子─完─