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理想というまやかし
第3章 嘆きの娼婦

* * * * * * *

 三芳と一つになった翌々月、愛乃は彼女と同じ会社に雇われた。

 世間の女の子達が減量より肉をつける方が簡単だと言うのは本当だったようで、あのあとも肉体関係こそ持たなかったにせよ食事を提供してくれる男を探してきては、とにかく二人とも過不及ないほどの体力が備わって見える身体つきを手に入れた。愛乃が自分の肉体に女特有の凹凸を見出すようになったのも、その頃だった。男達は食事や買い物に付き合いながら、愛乃の全身に舐め回すような視線を塗りつけていた。


 昼の仕事につけたのも、多分、愛乃と三芳の人並外れた容姿が、人事部長の心に響いたからだ。
 友達同士で志望してきて、読み書きも小学生レベルしか出来ない、パソコン関係の用語など聞かされても全く理解出来ない十五歳の少女達に、鼻の下を伸ばした中年男はコピー取りから覚えてくれれば構わないよと言った。可愛いね、彼氏はいるの、とも。
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