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理想というまやかし
第3章 嘆きの娼婦
初めての自由、幸福を得たはずの愛乃は、それから社員達の奴隷になった。
三芳に隠すこと、ゴムを装着することを条件に、愛乃は黙秘の代償として、彼らの望む行為に応じた。
単体女優並みの容姿の女が熾烈を極めた企画に出ていて、そのタイトルに値打ちを感じない好色家は珍しい。愛乃の足掻きも虚しく、社外のネットワークで問題作は拡散された。愛乃の他作品にも興味を抱いた人間が、三芳との茶番劇まで探し出した。
欠勤しがちになった愛乃達に、会社は自主退職を促した。親切な上司達は見て見ぬ振りをした。女達の大半は愛乃達を侮蔑していたし、時間が解決してくれる望みも薄かった。
愛乃は三芳と会社を辞めた。
ライブのあと、客達と握手すると手に白濁がこびりつくようになったのも、その頃からだ。乳房を掴んでくる客がいても、元々、地下アイドルの過剰なハイタッチも容認しているライブハウスは、客にペナルティまで与えない。
親との離縁は、思いのほか高くついたのだ。
それでも三芳がいてくれる。
愛乃の気骨を嘲笑いでもするように、例のポルノDVDは一部がネットにも上がっていった。