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理想というまやかし
第3章 嘆きの娼婦
「愛乃のこと、大好き。親友として愛してる。でも彼の気持ちに応えなかったら、それ以上の幸せはもう期待出来ない気がするの」
「最後まで俺は、愛乃ちゃんと三芳ちゃんに何もしてやれなかった。こんな格好悪い俺でも、一生かけて出来ることがある。三芳ちゃんを守ること。もちろん愛乃ちゃんのことも。大事な彼女の友達だからね」
「あのDVD、観てないんだって。観ないって。この人と一緒にいる時は、私は生まれた時から暢気な女の子だったんじゃないかって、嘘でも信じられるんだ」
「同情でも、罪滅ぼしでもない。尊敬している彼女の力になれなかった、対等な目で愛しているから、これからは支え合っていきたい」
喉が掠れて、祝福の空音も送れない。胸が痛くて、腰を下ろして目を開けていることもままならない。
しかし愛乃は三芳が自分を離れていっても自業自得だ。彼女が自分を見限ったとか裏切ったとかいう資格はないし、生きていけなくなっても決して呪わないと決めている。
「そう……。良かったね。私も三芳を愛してるから、貴女が幸せなら嬉しい」
聞き分けの良い少女の笑顔を貼りつけて、それだけ口にするのがやっとだった。