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理想というまやかし
第4章 哀傷の姫
「ぁっ、はむ、んんっっ」
ちゅっ、ちゅ……ぢゅる…………
「はんっ、んぅ……んっ」
「真麻……可愛い。寝間着の格好でもお姫様だ」
「はっぁ、りと……」
味見のよそよそしさをやめたキスは、舌を絡めるだけにとどまらず、唾液まで二人を行き来する。慣れた手つきが、乳房を包み込んできた。
恋人がいたことはないと聞いていただけで、真麻はりとに関して何も知らない。話をするのはいつも真麻だ。痺れるほどの甘美なキスやこまやかな愛撫が、あまりに初々しさとはかけ離れている経緯について、聞き上手な彼女から得られた話の中では思い当たるところがない。
りとは、薄手のシャツの上から揉みしだいていた真麻の膨らみを露出させた。
ブラジャーが離れていった瞬間、真麻は彼女が顔色を変えたのを肌に感じた。
「痛む?」
「……感じすぎちゃうから、あんまり触らないで欲しいかな」
「そっか」
「ひゃん!!」
乳首の先端から電気が走った。
実際は、りとがそこに触れただけだ。腫れ上がったコットンパールを貫いていたピアスを外して、真麻が抗議するより先に唇を寄せた。
くちゅ、くちゅ、と、りとが乳首をしゃぶる音が、やたら大きく耳に響く。
真麻が愛乃のものである証のピアスが、視界の端で、薄明かりを弾いていた。
ニードルが貫通したのは、一ヶ月前だ。定着しきらなかったピアスホールに、痛覚が戻る。さっきまでほとんど痛まなかったのに、ピアスが外れて、ただの怪我になったのだ。
「やっ、やっぱ……ああんっ!」
乳輪の褐色を囲って舌先が這う。口に含んでは吸い上げて、それを左右交互に繰り返すりとの唾液が、次第に薬の効果を伴う。薬と言うには、健全だ。これは媚薬だ。痛みは変わらないのに、淫らな気持ちが真麻を宥める。