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理想というまやかし
第4章 哀傷の姫


 愛乃とはどんな風に繋がるの、と、りとが真麻の浅瀬をこねくりながら、そこに息を吹きかけた。

 自我をなくした下半身を揺さぶりながら、いつか話した愛乃とのことを真麻は今一度振り返る。吃驚するほど優しくて、真面目なセックス。本当だ。陰部の毛を根元から抜いたり乳首を虐げたりしても、それらは淫らごととは逸脱している。愛乃が真麻を採取するため、愛乃が真麻を所有するための工程だ。

 じゃあ不真面目な夜にしよう、と、りとが真麻に後方から腕を絡めた。
 頬から鎖骨、鎖骨から乳房に片手を這わせるりとの動きは、まるでどこかの騎士がさらってきた姫君を手篭めにでもする趣(おもむき)だ。その強引さに頭がとろける感覚がしていると、真麻は後ろ手に紮げられた。枕に顎をついて目隠しされて、下半身に間断ない快楽を余儀なくされて、真麻は奏でられるだけの楽器になる。

 腕の自由を奪われたから。視界を覆われたから。逃げられなかった、仕方がない。


「真麻……先に出逢ったのは、私の方だったってことにしてよ。どうせ誰でも良かったんだろ」

「んっ……ぅ、ずる……ぃ……ぁっあっ……」


 りとの指に、何度も果てた。

 目隠しは真麻のウエストリボンで、腕を覊束したのは彼女のリボンタイ。

 明け方、真麻の身動きを封じていたのは簡単にほどけるものばかりだったのを確かめて、りとが真麻を寝取るためにしていた準備は特に何もなかったのだと知った。
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