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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第25章 花
 湯あみはいつも、この離れの浴室で行っている。
 この辺りには温泉が湧いているらしく、そこから湯を引いているのだ。浴室は広くはないが、良いお湯がいつでも楽しめる。

 聖地にいた頃は、決まった日にしか湯を沸かさず、普段は冷たい聖水で身体を清めていたフィーネにとって、いつでも温かいお湯で身体を清められるのはとても嬉しいことだった。

 離れの浴室だけでも十分有り難いのに、城の大浴場に誘われるとは。

「よろしいのですか? 魔王様がお使いになられている場所ですよね?」

「ご許可は頂いております。こちらよりも広く、ゆっくりお寛ぎ頂けると思いますよ? 今日は庭の花を一部摘みましたし、せっかくですから花風呂にいたしましょう」

 アンジェラはそう提案しながら、庭に置いてあった籠を持って来ると、フィーネに見せた。籠の中には彼女の言う通り、庭に咲いている赤い花が沢山入っている。
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