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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第27章 大浴場②
 そんな本能に抗おうと、フィーネはやっとのことで唇を離し、この淫靡な雰囲気と話題を変えようと話しかけた。

「ふぁ……ま、魔王さま? 先程アンジェラさんに見つかると、ややこしいこのになると仰ってましたが……」

 アンジェラのことを思い出させたら、彼の行動も止まるかと思ったのだが、予想に反し魔王は意地悪く笑う。

「最近、私たちを二人きりにすると、やけにお前が疲れて帰ってくるとアンジェラに指摘されてな。お前が可愛くて仕方ないのは分かるが、もう少し相手の身体にも気遣えと、うるさい」

「か、可愛くて仕方ないって、もうっ、アンジェラさんったら、魔王様になんてことを……」

 フィーネは顔を真っ赤にして俯いた。
 何故疲れて帰ってくるか、嫌という程心当たりがあるからだ。

 それにしても、魔王がフィーネを可愛がっているようなアンジェラの発言が、恥ずかしくて堪らない。
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