パソコンから！ケータイから！スマホから！無料でどこでも気軽に楽しめる官能小説サイト

第5章 魔王⑤

　これから自分に報復しようとする男の言葉にしては、あまりにも穏やかで優しい声色だったからだ。
　しかし、

「んぁっ！　いっ、いやぁ！　あっ、あん……」

　突然、胸からもたらされた刺激によって、拒絶を含んだ甘い啼き声が零れる。

　両手を組み伏せたまま、魔王の唇が胸の蕾に吸い付いたのだ。舌先で何度も転がされ、きつく吸い付かれ、フィーネの身体が震えた。

　知らない男の、それも自身が身体を捧げる者の敵から与えられる屈辱的な行為。
　先ほどまでの恐怖を忘れ、頭の中が悔しさと恥ずかしさでいっぱいになる。

（だ、駄目、もっと抵抗しなければ！）

　初めての感覚に混乱も戸惑いもある。
　相手が相手なので、抵抗をしなければという気持ちもある。

　だが不思議と嫌悪感はない。