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勇者の献上品である聖女は、魔王に奪われその身に愛をそそがれる
第34章 女神と魔王③
「ピアチェを騙り人間たちに神託を下したのは恐らく、邪神ラファだ。ラファは、ピアチェが守ろうとした種族同士を戦わせ、今の状況を楽しんでいるのだろう。戦いで生じる負の感情は、ラファに力を与えるからな。だから、私は人間と戦わないのだ」
 
 精霊たちの力は、今のところ魔王が持つピアチェの力によって守られているため、世界の滅亡は免れている。

 邪神も、女神の力を持つ魔王には迂闊に手を出せないらしい。無駄に傷つくことを良しとしないからだ。

 フィーネを安心させるための説明だろうが、どうでもよかった。
 魔王のこの先が気になって仕方なかった。彼の腕を掴む手に力が籠る。

「でも、いつまでこの戦いを続けられるのですか? ずっと、ずっとずっとずっと! お一人で背負って行かれるおつもりなのですか⁉」

「ピアチェが戻ってくるまでだ」

 ピアチェは死んだ。
 しかし、あくまで受肉した肉体が死んだだけで、女神として消滅はしていない。
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